このページではPMモーターと非同期モーター(誘導モーター)の違いについて解説しています。
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PMモーター(同期モーター)の特徴
【概要】
PMモーター(同期モーター)はローター部に永久磁石が埋め込まれたモーターを指します。PMモーターが誘導モーターと違う特徴はスリップ(すべり)がないという点です。つまり実際の回転速度と同期速度が同じであるモーターです。PMモーターは誘導モーターのように誘導電流を生じる事で発生する回転磁界の力で回転するのではなく、モーター巻き線に流した電流によって生じる回転磁界とローターに内蔵された永久磁石の磁力の力でローターが回転します。誘導電流を発生しない構造ですので、通常ならローターで生じるエネルギーロスがなく、モーター熱を発生しにくい構造です。
【回転数を0rpmから徐々に上げていく理由】
このワイヤー(巻線)の磁場とローターの回転数を同じにするために、0rpmから回転数を上げていき3000rpmで完璧に同期するためにPMモーターには必ずインバーターが必要になります。
【インバーターは巻線に対する角度をチェックしている】
インバーターはPMモーター巻き線に流れる電流値を変えると同時に、ローターの巻き線に対する角度を常に把握し、それが常に90度になるようにチェックしている。言い換えると、インバーターは巻き線部分の磁場を絶えずコントロールしている。
【PMモーターの構造】
【永久磁石の付き方 IPMとSPM】
PMモーターには、ローターの内部に永久磁石を埋め込んだIPM(Internal Permanent Magnet)とローターの表面に永久磁石を貼り付けたSPM(Surface Permanent Magnet)の2つのタイプがあります。スペックポンプでは通常のPMモーターポンプにはIPM、コンパクトなPMキャンドモーターポンプにはSPMを使用しています。
最大圧力 160m 最大流量 20l/m の低流量高圧力型の0.45kwサイズPMモーターポンプです。最大160mという高圧力かつ0.45kwという小型サイズから、設置スペースが限られる様々な用途で採用されています。
誘導モーター(非同期モーター)とPMモーター(同期モーター)の回転原理の違い
固定子に交流を流してそれによって生まれる回転磁界と回転子(永久磁石)が引き合い同じ速度で回る電動機がPMモーターです。
PMモーターでは誘導電動機にあった回転子の導体部分を省略しているので誘導電動機にある2次銅損が生まれません。無駄な損失が生まれないので、高い効率を得られます。
誘導モーター(IM): 非同期モーターは固定子巻き線に電流を流すと固定子内にN極とS極の回転磁界が発生します。回転磁界と回転子導体が交わると、導体に二次電流が発生し二次電流と回転磁界の力の作用により回転子に力が加わり回転します。
PMモーター(永久磁石モータ): 同期モーターは 固定子巻線に電流を加えると、固定子内に回転磁界が発生します。回転磁界の動きに永久磁石が吸い寄せられ回転子も回転磁界と同じ速度で同期回転します。二次電流を発生させずに永久磁石と回転磁界の力でモーターを回転させるので、モーター熱が従来より下がります。 それによりシャフトへの負荷も下がりポンプの高寿命化を実現しています。
非同期モーター(誘導モーター)
非同期モーター、私たちが誘導モーターと呼んでいるタイプのモーターは、下記の写真のようにかご型ローターが特徴です。巻き線に電流が流れると巻き線の周りに回転磁界が発生します。この回転自体がかご型ローターの導体部に交わる時に誘導電流が発生します。この誘導電流の発生によりローター導体部を巻き込むように更に回転磁界が発生し、この力の作用によりローターが回転するのが非同期モーター(誘導モーター)です。
誘導モーターが非同期モーターと呼ばれるのは、実際の回転速度が同期速度(生じる回転磁界の回転速度)よりも若干遅いためです。つまり同期速度と同じ回転速度ではないモータのため非同期モーターとも呼ばれます。そしてこの遅くなる回転数をスリップ(すべり)と言います。
【なぜ誘導モーターにはすべりが必要なのか?】
非同期モーター・誘導モーターはすべりが生じないと回転する事ができません。上図は非同期モーター(誘導モーター)に電流を流して回転する仕組みを表していますが、定子巻き線に電流を流すと固定子内にN極とS極の回転磁界が発生します。回転磁界と回転子導体が交わると、導体に二次電流が発生し二次電流と回転磁界の力の作用により回転子に力が加わり回転します。
もしこの時に、回転磁界が実際の回転速度と同じで同じ方向に回転してしまえば、二次電流(誘導電流)は生じません。非同期モーター・誘導モーターはこの生じる誘導電流によって回転するためのトルクを得られるので、必ず”すべり”という実際の回転速度よりも遅い状態でなければならないのです。
起動の違いについて
・ステーターとローターの回転磁界が同期した時にモータートルクが発生する
・ローターと回転磁界が同期しなければ回転トルクは発生しない
・巻き線にできる回転磁界と永久磁石による磁界が同期する時のみスタートできる
・3相用PMモーターなれば0Hzからスタートし徐々にスピードアップするように調整されなけらばならない
非同期モーターの場合
・ローターがステーターとは異なる回転磁界のスピードの時に初めてトルクが発生する
・同期速度(回転磁界の速度)と実際の回転速度のギャップが大きくなるほど回転トルクも大きくなる
・この同期速度と回転速度のギャップの大きさにより起動トルクは大きい
PMモーターポンプの性能曲線
PMモーターポンプの性能曲線は1000rpm 2000rpm 3000rpm 4000rpmと回転数ごとに線が引かれる。特にインバーターの保護機能を使用すればそのPMモーターの定格電流値以上になろうとすると、モーターが自動的に減速するように設定する事ができる。下記の曲線ではPMモーター1.1kwサイズでは4000rpm時に直線が曲がっている。これは4000rpm時にモーターが定格電流値以上を示していることを表している。モーターサイズが1.1kw→2.2kwに大きくなれば、4000rpmでも定格電流値を下回るので曲線ではなく青い線の直線になる。
弊社製品でのPMモーターと誘導モーターの比較
A.誘導モーター・マグネットポンプ | B.PMモーターポンプ | |
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使用温度帯 | マイナス100℃から+350℃まで | マイナス100℃から+350℃まで |
※低温ではフッ素系媒体-100℃まで使用可能 | ※低温ではフッ素系媒体-100℃まで使用可能 | |
使用電源 | 商用電源(AC200V)でモーターを回せる | インバーターでモーターを可変回転させる。 |
※インバーター使用も可能(45~67Hz) 商用電源だけでは回せずに、インバーターを使用して回すタイプ。 | (省エネになるためIE規格外に→モーター高効率規制に有利) | |
サイズ | 通常(スペック社は他社よりもコンパクトと評価されています) | 誘導モーターよりも更にコンパクト・キャンドは最小サイズ |
規格 | CE規格 UL規格 GB規格 安全増ATEX など取得可能 | CE規格 UL規格 GB規格 安全増ATEX など取得可能 ※インバーターもCE・UL規格取得済み |
モーター規格 | IE3(2020年12月現在) | ※PMモーターはIE規格外(モーター効率はIE4以上) →モーター高効率がIE4に上がった際に変更の手間がない |
モーター過負荷 | バルブを締め切り過ぎた場合に定格電流値を超えるモーター過負荷は起こり得る。 | ※スペックPMモーターはモーター定格電流値を超えようとすると自動的にインバーターがモーターを減速させる設定になるためモーター過負荷は起こらない。 |
能力(流量・圧力) | システム抵抗値により1点に決まる | インバーターの可変により最高4000回転(※ポンプにより変わる)まで様々な能力を選択できる |
能力の調整 | 吐き出しバルブの開閉で調整 | インバーターによるモーター回転数変更で調整 |