ポンプ本体(運転・能力)について

ポンプ性能曲線の読み方

ポンプの性能曲線には、流量と圧力の2つが示されています。詳細なデータでは、その際の軸動力(モーター消費電力)・NPSHR必要吸込みヘッド・ポンプ効率なども記されています。この性能曲線はあくまでポンプ単体が行う仕事を示しています。ポンプの先にあるバルブ弁によって失われる圧力などは含まれていません。ポンプが作り出す圧力、ポンプが送り出す流量がこの性能曲線には記されています。

ただしこの性能曲線だけではポンプの稼働点は決まりません。ポンプの稼働点(圧力・流量)を決めるのは、ポンプの先にあるシステムが持つ抵抗値です。システム抵抗値の曲線との交点により、ポンプの稼働点が1点に決まります。システム内のバルブを閉めることによりシステム抵抗値が上がれば、その曲線は左に寄ります。すると、ポンプの稼働点は流量が下がり、圧力が高くなる交点に移動します。反対にバルブを開放すれば、システム曲線は右に寄り、流量が上がり圧力は下がる交点に移動します。

ポンプの稼働点を決めるのはポンプ自身ではありません。ポンプは常に与えられた回転数で100%で仕事を行うだけです。そのポンプの先のシステム抵抗が、ポンプの稼働点を決定しています。

ポンプ流量・電流値とシステム抵抗値の関係

ここではスペックポンプ主力製品のカスケードインペラータイプのポンプを元に説明します。カスケードタイプのポンプは渦巻型インペラーのポンプとは異なり、流量を上げるほど(バルブを開けるほど)に電流値は下がっていきます。反対にバルブやシステム抵抗値の上昇により流量が絞られるほどに電流値は上がっていきます。

先程も説明しましたが、ポンプのパフォーマンスはポンプ自身が決めるのではなくポンプが組み込まれているシステム回路全体の抵抗値によって決められます。例えば上の図では、バルブや熱交換器を通る配管などがポンプが流そうとする仕事に対しての抵抗になります。バルブや熱交換器などの数が増えるほどに回路全体のシステム抵抗値は上がりますので、その分だけポンプは十分な圧力を持って媒体を送り出さなければ十分な流量を熱交換器などに送りこむことができません。

 

例えば上のグラフにある黄緑色の曲線が回路のシステム抵抗値を示します。この曲線とポンプの性能曲線である赤い直線(流量と圧力)が交差する点がポンプの稼動点に決まります。ここでは黄色い点の【42 l/m at 22m】というのが稼動点です。そしてその時の電流値は青い直線との交点である【5.3A】付近になります。

そしてシステム抵抗値が増す、つまりバルブや熱交換器が増えたり、配管が細いものになったりL字型エルボが増えたりすると、回路全体のシステム抵抗値は増します。下の図のように黄緑色のシステム抵抗値の曲線は左側へ傾きの強い曲線に変わります。

システム抵抗値が増す要因

・バルブや熱交換器などの流量の抵抗になるものが増える

・配管が細くなる

・L字型のパイプ部分が増える

何らかの要因でシステム抵抗値が増すと上の図のように曲線は傾きの強い左側に寄ったものに変わります。ここで注目したいのがポンプの出す流量とその時の電流値の関係です。回路の抵抗が増えたので当然ポンプが媒体を流しにくい状況になっています。具体的に数値で見るとシステム抵抗曲線と赤いポンプ性能曲線が交わる黄色い点がポンプの稼動点になり、【25l/m at 30m】になります。先程と同じ回転数のポンプであるにも関わらず、【42 l/m at 22m】→【25l/m at 30m】へと流量は減りました。(圧力は抵抗が増えたぶん上がっています。) その時の電流値は【5.6A】です。システム抵抗が上がる前は5.3Aでしたので、電流値もシステム抵抗値の上昇と共に上がっています。つまり、回路全体がポンプにとって媒体を流しにくい状態に変わったのでポンプが出す流量は減り、またその時の電流値は上がったのです。

実際の現場ではシステム回路に流量計のみを取り付ける場合が多いですが(圧力計は付けないケース)、流量とその時の電流値のデータを取る事ができれば、そこから大体のポンプが出す圧力を求める事が可能です。

流量計も圧力計も取り付けていないというケースではあまり正確ではありませんがポンプの性能曲線と稼動中のポンプの電流値を取る事ができればその時の大体のポンプの稼動点(流量と圧力)を性能曲線から予測することもできます。電流値が定格ギリギリの値になっているとするならば、システム抵抗値とポンプ性能曲線の交点がかなり左側に寄っているという事ですので、流量はかなり絞られていると考えられます。またポンプの仕事量がかなり大きい状態とも言えます。システムの抵抗値がかなり大きい状態です。

反対にその時の電流値が低い状態を示しているならば、交点は右側に寄っているという事ですので、流量は十分に出ていると考えられます。ポンプの仕事量は適正と言えるでしょう。システム抵抗値も小さい状態です。

しかしケースによっては電流値だけを見て判断を誤ってしまう事もあります。例えばポンプ内に異物が挟まっている場合、モーターへの負荷は高くなり電流値はかなり上がっているでしょう。これはシステム抵抗値が大きいのではなくポンプ自体に問題がある状態です。反対に電流値が極端に低い場合にポンプの流量はかなり出ていると考えたいですが、空運転というインペラ部に流体がない状態、流体に空気が混じっている状態では電流値は低い状態になります。この状態のときには流量は出ていませんので電流値だけで判断することができません。

ここではあくまでカスケードタイプでのインペラーの説明です。渦巻型インペラーの場合は消費電力の動きが反対になりますので注意してください。

カスケードインペラー(圧力型):流量が絞られるほどに消費電力(電流値)は上がっていく。そのためスタート時はバルブ全開にして消費電力を抑えてスタートさせる。

渦巻きインペラー(流量型):流量が出る程に消費電力(電流値)は上がっていく。そのためスタート時はバルブを絞る閉塞運転で消費電力を抑えてスタートさせる。

なぜこのような違いが起きるのかと言うと、カスケードインペラータイプはその構造上、密閉された圧力がどんどん上がるような構造になっています。反対に渦巻型インペラーはケーシング内は開通しており圧力よりも流量が多く出るための構造になっています。

ポンプ吐き出し口とバルブによる圧損の見方

ポンプの性能曲線はあくまでポンプ吐き出し口における能力を示しています。ポンプ吐き出し口の能力とはそのポンプが生み出す差圧と送り出している流量の事です。従来のポンプの能力制御はポンプ吐き出し口の後に付けるバルブ開閉による調整が主流でした。

しかしバルブを通過する際にポンプから送り出される圧力は損失しています。これは性能曲線の見方についても同じで、システム抵抗曲線とポンプ性能曲線との交点はあくまでポンプ吐き出し口の能力になります。実際の回路ではバルブ通過後の流量や圧力が重要になってきますので、下図の性能曲線の青い交点つまりポンプ吐き出し口の能力だけを見ても不十分になります。

下記の性能曲線で見るとバルブ通過後の圧力は赤い点になります。バルブで流量を絞るとここまで液体に与えられる圧力は落ちるのです。

このバルブによる失われた圧力損失分が無駄に消費されてしまったエネルギー分と言えます。この無駄に消費されたエネルギーはそのままポンプ消費電力の浪費となります。

 

 

 

 

バルブ制御が要らないPMポンプという回転数制御

スペックポンプにはPMポンプというVFD駆動タイプのポンプがあります。回転数を1000~4000回転に自由に変える事で幅広い能力をカバーできる省エネにも適したポンプです。幅広い回転数でポンプを運転できるという事はこれまでのようなバルブによる制御が要らなくなるという事でもあります。つまりこれまでのバルブによる圧力損失がPMポンプのような回転数制御のポンプの場合には起きなくなるのです。

 

 

下記の曲線はPMポンプの1000~4000回転の曲線を示しています。黄緑色のシステム抵抗曲線との交点は最大能力になる4000回転時には青い点になり、もう少し流量を落としたい場合はバルブを絞る代わりに3000回転まで落とし赤い点にします。この時にはバルブがないためにバルブによる圧力損失は起きていません。

バルブによりエネルギーロスが起きないため、PMポンプの消費電力は常に必要最小に留めておくことが可能になります。

 

ポンプの選定方法

ポンプを選定するには、使用電源(例えば200V 50Hz)、使用媒体(水、油、ガルデンなど)、使用温度(-40℃~100℃など)、稼動点(30l/m at 30m など)が必要な情報となります。このほかにもインバーターの使用などの情報があれば、より最適なポンプを選定できます。

  1. 使用電源(〇V 〇Hz)
  2. 使用媒体
  3. 使用温度帯
  4. 媒体の密度・粘度
  5. 稼働点(〇l/m at 〇m)
  6. インバーター使用の有無

粘度はポンプの運転にどのように影響するか?

媒体が水の場合は、20℃であっても80℃であっても、水の粘度はほぼ変わりません。しかし媒体が熱媒循環油や不凍液(LLC)になりますと、低温の状態では粘度が非常に高くなる場合があります。媒体の粘度が高いということは、それを回すマグネットポンプの軸動力にも大きな負担が掛かるという事ですから、粘度が高い状態(媒体温度が低い状態でスタートするコールドスタート時)にはモーターサイズの容量に注意する必要があります。具体的には通常の選定よりも、粘度分だけモーター容量を大きくしたり、媒体が十分に温まり、粘度が低くなってから運転を開始するなどです。また粘度が高くなると、ポンプの流量や圧力にも影響してきますので注意が必要です。反対に媒体粘度が0.5mm2/s 以下などの非常に低い値の時にも、ポンプの運転に影響しますので注意する必要があります。

キャビテーションを防ぐには?

媒体の沸騰現象であるキャビテーションを防ぐには、ポンプ側からのアプローチとシステム配管側からのアプローチの2つがあります。ポンプ側から考えますと、まずポンプ固有の値であるNPSHR必要吸込みヘッド(ポンプ内で減少する圧力)の値が低いポンプを選定することです。NPSHRが元々低いポンプであれば。ポンプ内の圧力減少も少ないのでキャビテーションは起こりにくくなります。または渦巻きポンプなどは特に、性能曲線の右端でポンプを使うとNPSHRが急激に高くなります。大流量を出したいからと言って、ポンプ能力ぎりぎりの最大流量で使うと、キャビテーションは起こりやすくなるので、余裕を持ったポンプの選定が必要です。

配管側から考えますと、ポンプへの押し込圧(NPSHA)を高くすれば、ポンプ内で失われる圧力をカバーすることができ媒体の飽和蒸気圧以上に保つことができます。具体的にはポンプ吸い込み側に入るタンクの高さを上げて押し込み圧を上げたり、吸い込み側の配管径を大きくして圧力損失を少なくしたりなどです。

 

ポンプの運転で注意することは?(空運転 締め切り運転 異物混入)

ポンプの運転で特に気を付けたい点は以下です。

①空運転・・・ポンプ内に媒体が入っていない状態でポンプを回してしまうこと。媒体がない空の状態で回されたポンプ内部は急激に温度上昇し故障の原因になります。ポンプ内に確実に媒体が満たされているか確認の上でポンプをスタートさせてください。

②締め切り運転・・カスケードポンプでは吐出し弁を閉め切った状態(流量が0に近い点)で運転しますと、圧力が急激に高まり、ポンプ内部の温度、媒体温度が上昇し、ポンプ故障の原因になります。またモーター過負荷の原因にもなりますので、短時間でも締め切り運転はしないようにします。

③異物混入・・ポンプヘッド内に媒体以外の固形物が入ってしまうと、インペラーなどの部品を損傷させる原因になります。吸い込み側にストレーナを付けるなどして、ポンプ内に異物が混入しない状態を作ることが重要です。

④吐き出し側でバルブ調整を行う事・・吸い込み側でバルブ調整を行うと、ポンプ内の圧力が急激に下がるためキャビテーションを引き起きしやすくなります。バルブ調整は必ず、吐き出し側のバルブ弁で行います。

⑤ポンプのちょい回し・・スタート時はポンプの回転方向。異音または振動がないかをチェックするために、ポンプを少しだけ回してみる事で確認をする

 

ポンプにおける揚程(m)と圧力(bar/MPa)の違いは何?

そのポンプが水を何mの高さまで持ち上げることのできるかを示す値が揚程(m)です。揚程30mのポンプと言えば、水を30mの高さまで持ち上げる事のできるポンプです。ではポンプにおける圧力(bar/MPa)とは何でしょうか? これは圧力なので、単位面積あたりにかかる力です。水で揚程10mの仕事をするポンプは、0,1MPaの圧力を生み出すポンプと同じです。これは1barの圧力を生み出すポンプとも言えます。

ではポンプが送り出す媒体が、水(密度 1.0g/cm3) から 油 (密度 0.8g/cm3)に変わった場合はどうでしょうか。密度は単位体積あたりの重さを示す値ですので、油は水よりも軽い媒体と言えます。その油を10m持ち上げるのと、水を10m持ち上げるには、同じ10mでも掛かる圧力が異なります。ポンプは常に100%の力で回転していますので、重さの違う水も油も等しく10m持ち上げようとします。結果的に10mの高さまで持ち上げますが、同じポンプで考えると、その時に掛かる圧力は水0.1MPaに対し、油は0.08MPaしかありません。密度が少ない油を送り出しているからです。またその時のモーター軸動力も、ポンプは水より軽い油を持ち上げているので、水に掛かる消費電力の0.8倍に減っています。逆に1.8g/cm3などの密度の大きいフッ素系媒体などを送り出すときは、フッ素系媒体1.8MPaの大きな圧力が掛かります。重い媒体を送り出しているからです。その時の軸動力も1.8倍に上がっています。

自給式ポンプと呼び水

通常、ポンプの始動時には呼び水と呼ばれる、ポンプ自身と接続された配管内全てに使用する媒体で満たします。呼び水をする事でポンプや吸込みの空気が追い出され、下の位置にあるタンクからの媒体を汲むことができるようになります。押し込み運転のようなポンプがタンクより下方にあるような回路では、タンクに液体が入ればポンプ本体と配管は液体で満たされますが、ポンプよりも下にあるような媒体を汲みこむ際にはこの呼び水が必要です。

自給式ポンプと呼ばれるポンプはポンプ本体に呼び水するだけで揚水してくれます。非自給式ポンプには自給能力はなく、吸い込み管の先にフート弁を付けて、ポンプ本体のみならずタンクに繋がる吸い込み配管全てに呼び水をする必要があります。

ポンプにインバーターを付けるとなぜ省エネになる?

ポンプは常に決められた回転数で100%で動き続けています。ですので、同じ稼働点を出しながらもポンプの消費電力をセーブするには回転数を下げるしかありません。通常のバルブ開閉による流量調整では、媒体がバルブ弁を通過する際に圧力損失を伴います。これがポンプ効率のロスになります。これをインバーターによる回転数調整に変えると、バルブで起こる圧力損失が無くなります。ですので回転数を既存値より下げても、達成したい稼働点を出すこともできます。これによりポンプの省エネが達成できるのです。

 

吐出し側バルブ弁とバイパス弁の流量調整の違い

求めている稼働点に向けて吐出し側のバルブ弁を絞ると、モーター過負荷になってしまうようなポンプの場合、バイパス弁を開放して再び媒体を吸い込み側に戻す事で、モーターの過負荷を防ぐことができます。低流量・高圧の稼働点で過負荷になるようなカスケードポンプでは、吐出し側のバルブ弁は負荷が掛からない大流量のポイントで開放しながらポンプを動かし、バイパス弁を開けて逃がす事で流量を下げます。バルブ弁では流量を下げれば消費電力が上がりますが、バイパス弁はポンプ自体の仕事量は一定のまま、バイパス配管を使う事で、過負荷にならないように流量を下げる事ができます。

インペラーサイズと能力の関係

ポンプの能力を変える際に、インペラーカットという方法があります。インペラーサイズを小さくすることで、適正なポンプ能力に落とす方法です。インペラーの直径は圧力、インペラーの幅は流量に影響します。この2つを調整する事でポンプの能力を決定します。インペラーカットはポンプの回転数を下げるのと同じ効果がありますが、現在ではインバーターの回転数調整がより普及しつつあります。

媒体の流れやすさ(配管内の流速・動粘度)

ポンプの選定と同時に大切な事として、流体がちゃんと流れるかという問題があります。例えば、流量がとても大きい(500l/m以上など)、流体の粘度が比較的高い(50mm2/s以上など)、これらの条件がある場合、ケースによっては流体が思うように流れない場合があります。

流す流量が大きい(500 l/m以上など)

配管内を流れる流体の流速として、ポンプが送る流量が大きくなるほど流速は増します。また、配管の呼び系が小さいほど流速は増します。これらの大量の流体を早い流速でしっかりと流せる太い配管系を持っているならば問題ありませんが、配管系が小さい場合、流体を十分に送ることができません。この場合、流す流量自体を絞って落とすか、配管系を一回り大きくして流速を落とすかになります。

粘度が高い

流す流体の粘度が高い場合も、流体が流れにくくなります。この場合、低温で粘度が高くなる媒体の場合は、流体を温めて高温にすることで粘度を低くすることができ、流体も流れやすくなります。

 

NPSHr(必要吸い込みヘッド)とNPSHa(有効吸い込みヘッド)

ポンプにはNPSH(吸い込みヘッド)という大事な指標があります。そしてそのNPSHにはポンプ本体側のNPSHr(必要吸い込みヘッド)と配管側のシステムで決められるNPSHa(有効吸い込みヘッド)の2つに分けられます。

NPSHr(必要吸い込みヘッド)

NPSHrはポンプ固有で持つ値です。この値は、”ポンプに最低でもこれだけの吸い込み圧力がないと、ポンプがキャビテーションを起こしたり、騒音や振動を起こしたりします”という指標の値です。配管の形状によっては、ポンプに対して押し込める圧力も限られてきますので(例えばタンクの位置をどこまでも高く設置できるわけではない)、このNPSHrの値は小さければ小さいほど優れたポンプという事になります。

NPSHrは、ポンプの流量が大きくなるほど、またポンプの回転数が高くなるほど大きくなります。(NPSHrはポンプ回転数の2乗に比例して大きくなります。)ですので、ポンプの最大能力で運転したいと思い、最高回転数でバルブ全開のような運転をしますとNPSHrは大きくなり、キャビテーションを起こしやすくなり、結果的にポンプのパフォーマンスが発揮されません。NPSHrを考慮した余裕のあるポンプ選定が大事になってきます。

NPSHa(有効吸い込みヘッド)

NPSHaは配管側・システム側で決定される吸い込み圧力の値です。例えば、ポンプに押し込むタンクの位置がポンプよりも10m高い位置にあれば、10m分だけポンプの吸い込み圧力であるNPSHaが大きくなることを指します。現実的にタンク位置を10mも上に設置することは簡単ではありませんので、上記で書いたNPSHrを出来るだけ低く抑えるという事が大事になってきますが、配管側でできるだけNPSHaを大きくして稼ぐことも、ポンプの正常な運転にとっては大事になってきます。

 

ポンプの回転数・インペラ径と流体の流量/揚程/軸動力/NPSHRの関係

ポンプの回転数・インペラの直径・液体の比重はそれぞれ流れる媒体の流量・圧力・NPSHR そしてモーターの軸動力(kw)に関わってきます。例えば、ポンプの最高能力を出すために最高回転数でポンプを回し、吐き出しバルブを全開にしようとするケースがありますが、ポンプの回転数が増せばキャビテーションに関係するNPSHRは二乗に比例し、また吐き出し流量が増すほどNPSHRは増し、キャビテーションが起きやすくなります。

この問題を解決するためには、インペラー直径を増すことで流量と揚程が増しますので、インペラー系を大きくしながら回転数を抑えることでNPSHRを抑えるという方法が取れます。

ポンプの回転数が増える

流量 比例

揚程 二乗に比例

軸動力 3乗に比例

NPSHR  二乗に比例

インペラ径が増える

流量 比例

揚程 二乗に比例

軸動力 3乗に比例

NPSHR  関係なし

液比重(g/cm3)が大きくなる

流量 関係なし

揚程 関係なし

軸動力 比例

NPSHR  関係なし

 

モーター(電力・定格電流)について

モーター 電流値(A)の計算公式

モーターの電流値の計算方法は下記になります。

電流値(A)= 1.1kw(モーターサイズ)x1000 / √3 x  200V(使用電源) x 0.9(モーター力率)x 0.9(モーター効率)

※モーター力率とは誘導モーターのすべり(スリップ)のこと。スリップが増えれば力率は下がる(0.7など)。すると電流値(A)は上がってしまう。

※モーター効率も0.7などに下がれば、その分だけ電流値は上がってしまう。

 

モーター消費電力の出し方

モーターの消費電力(kw)の計算方法は下記になります。

BHP(kw)= Q (m3/h) x H(m) x 密度 x 0.2724 /   EPP(%): ポンプ効率

BHP(kw)= 水の仕事量(※m3/h 換算)/ ポンプ効率

※H(m)= differentilal head  ポンプ差圧

EPP(%) = ポンプ効率↑ 消費電力下がる

      ポンプ効率↓ 消費電力上がる

 

モーターの絶縁耐圧・絶縁試験

絶縁抵抗とは電気が流れて欲しくない箇所の抵抗の事です。この絶縁抵抗値の単位はMΩで表しますが、この値が小さくなると漏電や感電などの危険が増します。絶縁抵抗値は、周囲の湿度環境や汚れなどで、長年モーターを使い続けていると落ちてきます。絶縁抵抗値が落ちた際に、測定部分を乾燥させると値が戻る場合があります。

絶縁耐圧試験

モーターメーカーは出荷前に耐電圧試験と絶縁抵抗試験の2つを行います。200Vのような低電圧モーターには電圧の2倍+1000Vを掛けても大丈夫かを確認します。2回目の耐電圧試験を行う場合は、初回電圧の80%にします。

絶縁抵抗試験

絶縁抵抗○Ω以上でモーターを合格するというのは各自メーカーが基準を持つ。例)DC500Vで10MΩ以上で合格など

 

モーターの導通検査・絶縁チェック

モーターの性能を計る試験として、モーター内で電気が繋がっているか、導通しているかを確認する導通検査と、モーターの絶縁をチェックする絶縁試験の2つがあります。

導通をチェックしたい場合はテスターと呼ばれるものを使います。電気が導通しているか確認したい場所にリード棒を接触させ、そこにDC10Vなどの低電圧を掛け、抵抗0Ω(つまり導通している)に針が振れればチェックできます。

絶縁をチェックしたい場合は、絶縁抵抗計を使います。例えば測りたい箇所にDC500Vを掛けて、針が∞Ω(つまち導通していない)を指したまま動かなければ、絶縁抵抗値が十分あるという事になります。

インバーター(VFD)について

インバーターに対するブレーカーの選定方法

【電源】ー【ブレーカー】-【インバーター】ー【ポンプ】の順に接続します。インバーターにはInputの定格電流値とOutputの定格電流値の2つがありますが、ブレーカーの選定をする際はインバーターInput定格電流値を基準に選定します。

スペックPMモーターポンプの自動回転数減速機能

インバーターにはモーターが定格電流値を超えた場合の保護機能(アラーム設定)などがありますが、スペックPMモーターはモーターが回転数を上げて定格電流値を超えようとすると、インバーターが定格電流値を超えないように自動的に減速する機能が付いています。これにより、モーターが定格を超えて焼損するというトラブルを事前に防ぎます。

PMモーター設定/誘導モーター設定

スペックポンプ使用のVacon社製インバーターはPMモーター・誘導モーターの両モーターに使用できますが、その切り替え方法はパラメーター設定で行います。インバーターの機種によっては誘導モーター専用のインバーター、PMモーター専用のインバーターとありますので確認が必要です。

 

Vaconインバーターの基本動作(ローカル制御:VFDキーパッド上)

 

まずは【基本の電源→インバーター→ポンプ】の接続についてです。

L1 L2 L3部に電源からのケーブルを接続します。 UVW部にはモーターに繋がるケーブルを繋ぎます。この時、スペックPMモーター上の端子内部では、U→茶色ケーブル V→黒色ケーブル W→青色ケーブルになるように接続する必要があります。

 

これがVaconインバーター上の操作ボタンです。

下記の緑ボタンでモーターがスタートし、赤色ボタンで停止します。

バックボタンを押すと、左のPAR(パラメーター)・MON(モニター)・REF(リファレンス)の各メニューを選ぶ事ができます。

回転数(周波数)を変えたい場合は、REF(リファレンス)に↑ボタンで合わせて、周波数を大きくします。

MON(モニター)メニューにカーソルを合わせると、現在のモーターのデータ(電圧・回転数・周波数など)が分かります。

Vaconインバーター外部コントロール用の端子接続

■6番端子:24V電源 DI1用(最初のスタート)

■8番端子:DI1 正転スタート または 9番端子:DI2 逆転スタート

以上の6番端子、8番端子または9番端子には必ず端子接続します。

これでIO制御でポンプをスタートさせる事ができます。

 

次は外部制御で周波数を変えるための端子についてです。

■4番端子:アナログ入力AI2   0-20mA / 0-10V

■5番端子: GND アース

 

最後にエラー機能を起こすためのリレー端子です。

■25番端子:R21(リレーアウト)

■24番端子:R22(リレーアウト)

 

多段速設定をする場合は

14番 15番 16番のDI4 DI5 DI6 端子も使用します。

Vaconインバーターのパラメーター説明

P1.X モーター設定

P1.Xパラメーターには、インバーターが動かすPMポンプのデータが入っています。定格電圧・定格電流・モーター力率・U/Fパターンなどモーターに必要な全ての情報がこのP1.Xパラメーターに入ります。スペックPMポンプの全てのパラメーター設定はドイツ工場出荷時に行われますので、基本はそこからパラメーター変更を行う事はありませんが、特にこのモーターデータに関するP1.Xについては変更せずに確認するに留めます。

 

P2.X スタート/ストップ・ローカル/リモート制御

P3.X  周波数(回転数)設定

P2.Xはインバーターの制御をVFD本体(Local)で行うか、それとも離れた制御盤上で行うか(Remote)を設定するパラメーターです。P2.1 /P2.5のパラメーターでローカルモードかリモートモードかを選択します。例えば離れた制御盤(Remote)で運転したい場合は、P2.1=0(I/O)  P2.5=0(Remote)にして、VFD上の画面もそのようになっているかを確認します。

P3.Xについては多段速設定(予め、数個の回転数(周波数)を設定しポンプを動かす制御)において使用します。P3.3=1(preset speed=0)とし、P3.4 preset speed0の回転数(周波数)を設定します。これだけで起動後にモーターはこのpreset speed0の回転数まで上がります。

同じくP3.5~P3.11までpreset speed 1 ~ preset speed 7までの周波数を設定すれば、下図のP5.8 P5.9 P5.10 の設定においてそれぞれ下記のように端子を接続すれば、スピード0/1/2の3段階の回転数を設定する事ができます。

P5.1はデジタル入力の割り振りとなり、1=DI1にすればP3.4で決めたpreset speed0までモーターは回転数を上げる。

P5.8 preset speed B0=4(DI4)

P5.9 preset speed B1=5(DI5)

P5.10 preset speed B2=6(DI6)

P4.X  加速/減速時間

インバーターでは到達回転数までの時間を設定することができます(パラメーターP4.2)。これは粘度が高い媒体などを扱う場合に、時間をかけて徐々に回転数を上げる事で、モーターへの負荷を抑えることが目的です。しかし、あまりにも長い加速時間を取るとエラーが起こる場合もあるので注意が必要です。

P5.X  多段速スピード設定

上記でも述べた多段速設定を行う場合に、P5.Xパラメーターを使います。あらかじめ設定した周波数を最大8個用意することができます。

P13.X  保護機能

P13.Xはモーターの保護機能です。スペックPMモーターは定格電流値を超えようとすると、自動的に減速し電流値を下げる設定になっていますので、通常のインバーター-誘導モーターで使われるようなストール保護機能は必要ありません。

試験的にアラーム機能を出したいという場合は

P13.5 アラーム設定を1(警告出し)

P13.11  ストール保護電流値(ストール保護機能が作動する電流値)

P13.12 ストール時間(何秒以上でストールが掛かるか)

P13.13 ストール周波数(ストールが作動する最低周波数)

以上の4つをセットします。

 

Vacon Live モニタリングメニュー

PC上のVFDパラメーター設定ツールであるVacon LiveではモニタリングメニューがありVFDと接続している稼動ポンプの回転数や電流値などをリアルタイムで記録することができます。

 

インバーターサイズ

 

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