半導体装置

概要

半導体製造では、露光・エッチング・メモリテストなどポンプが使用されている工程も多いですが、スペック社のマグネットポンプもフロリナートやノベックなどのフッ素系媒体を使用したチラー装置の中に数多く搭載されています。半導体装置向けチラー装置では、-100℃に迫る極低温での使用も通常に行われ、その温度下でも使用でき、なおかつ高い圧力を出せる能力、装置のスペースを取らないコンパクトな設計、電力を抑えた省エネ設計、ヨーロッパやアメリカ、中国などの輸出を視野に入れたCE規格・UL規格・GB規格など、ポンプに対する要求も高いのが特徴です。スペック社のPMモーターポンプシリーズはこれらの要求を満たし、半導体装置チラー向けのポンプとして数多く採用されています。

採用理由

・IE4 以上の効率を持つPMモーターを使用しているため、今後の変更申請の手間が省ける

・PMモーターは通常の誘導モーターよりもコンパクトなため、年々スペースが小さくなっているチラー装置にとっては助かる

・CE規格・UL規格が付いているので、SEMI規格を取得するには費用と時間の削減になる。

・マイナス帯(-100℃まで)のフロリナート・ノベック使用に耐えうる。

・必要としている高圧力を出せるマグネットポンプ。周波数変更可能なPMタイプなので省エネもアピールできる。

・脈動を起こさないので、正確な温調装置に適している。

媒体ごとに異なる比熱

比熱とはその物質の単位質量を1℃上昇させるのに必要な熱量を指します。

例えば水の比熱は 4.186[kJ/kg・K]です。これは1kgの水の温度を1℃上昇させるのに4.18kJの熱量が必要という意味です。鉄の比熱は、0.444[kJ/kg・K]で、1kgの鉄の温度を1℃上昇させるのに0.44kJの熱量が必要という意味です。

比熱はダムに例えると分かりやすく、

比熱が高い(1 kJ/kg・K 以上・例えば水)ということは大きなダムの場合で、

・熱を入れても、温度という水位はなかなか上がらない(熱しにくい)

・熱を抜いても、温度という水位はなかなか減らない(冷めにくい)

比熱が低い(1 kJ/kg・K 以下・例えば金属)ということは小さなダムの場合で、

・熱を入れると、温度という水位はすぐに上がる(熱しやすい)

・熱を抜くと、温度という水位はすぐに減る(冷めやすい)

鉄は熱しやすく冷めやすいです。つまり比熱が小さい媒体は熱しやすくまた冷めやすい媒体で、比熱が大きい媒体は熱しにくく、また冷めにくい媒体と言えます。

 

ガルデンやフロリナート(FC3283)の媒体比熱は1.0 kJ/kg・Kあたりで水と比べて比熱が小さいです。どちらかと言えばフッ素系媒体は鉄のように冷めやすく熱しやすい媒体と言えます。この冷めやすく熱しやすいというフッ素系媒体の特徴は冷凍という気化熱(媒体が液体から気体に蒸発するときに周囲の熱を奪う現象)を利用したプロセスにぴったりの特徴です。

 

気化熱で冷やす冷媒チラー

 

気化熱と呼ばれる液体が気体に変化する際に周囲の熱を奪う現象を利用するのがチラーの特徴です。その際の媒体はフッ素媒体のように比熱は小さく冷めやすい特徴の方が望ましいでしょう。

上のチラー構造で凝縮器という部分があります。コンデンサーとも言い、蒸発器(エバポレーター)で気体になった冷媒をコンデンサーで加圧した後に、空気または冷水と熱交換させる事で、気体を液体に凝縮液化させるための機械です。

この凝縮という現象の際に気体は周囲に熱を発します。これを凝縮熱と言います。

 

凝縮器と蒸発器はそれぞれ下記のような形をしています。

 

膨張弁は凝縮器から出てくる高温・高圧の液体冷媒を、次の蒸発器で気化しやすい(蒸発しやすい)状態にするために、低温・低圧の霧状に減圧するための弁です。

膨張弁には感温筒と呼ばれる蒸発器出口の温度を検知する部分があり、蒸発器出口の温度が低ければ膨張弁に入ってくる冷媒量を抑えるために弁を閉じます。反対に出口の温度が高ければ、膨張弁に入る冷媒量を上げるために弁が開きます。

膨張弁に入る冷媒は狭い通路を通ることで流量が下がり、流速が上がり、そして減圧されます。

コンプレッサーは気体を圧縮し、高圧にするための機械です。

 

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