流量・圧力が出ていない

 

まずは配管の流量計・圧力計でしっかりと測定してください。どちらかの計測器しかない場合は、稼動点での電流値を計ります。稼動点の電流値はモーター効率や力率、また性能曲線からの流量・圧力で出す事ができます。これらの数値からポンプがちゃんと仕事をしているのか、それとも仕事をしていないのかを掴みます。

圧力・流量、そしてその際の電流値(できれば電圧)を把握してください。

電流値(A)= 1.1kw(モーターサイズ)x1000 / √3 x  200V(使用電源) x 0.9(モーター力率)x 0.9(モーター効率)

※モーター力率とは誘導モーターのすべり(スリップ)のこと。スリップが増えれば力率は下がる(0.7など)。すると電流値(A)は上がってしまう。

そして実測された電流値が計算から出た値よりも高すぎる場合、低すぎる場合、同じの場合でそれぞれ見ていくポイントを絞ります。ポンプ内でキャビテーション(沸騰現象)が起きていれば、流量も圧力も落ちます。フィルターなどを配管に入れている場合、詰まり等を起こしていれば流量は減り、圧力は上がっているかもしれません。

 

電流値を見る時に、ポンプが ①カスケードポンプ か ②渦巻きポンプかでその見方は変わってきます。

①カスケードポンプ:流量が増えるほどに電流値は下がっていきます。締め切り運転になるほど電流値が上がります。

②渦巻きポンプ : 流量が増えるほどに電流値は上がっていきます。締め切り運転に近づくほど電流値は下がります。

 

上記のようにカスケードポンプと渦巻きポンプでは電流値に関して反対の動きを示しますので注意が必要です。

・電流値が定格の半分以下 → 空運転の可能性(渦巻きポンプ/カスケードポンプ)

・電流値が定格の半分 → 閉塞運転(渦巻きポンプ)

・電流値が定格以上 → ①締め切り運転(カスケードポンプ) /  ②流量超過(渦巻きポンプ)

①カスケードポンプの場合、弁を閉めすぎ流量が絞られ過ぎると、電流が定格値以上になります。この場合は弁を開けて流量を確保します。

②渦巻きポンプの場合、弁を開けすぎ流量が出過ぎると、電流が定格値以上になります。この場合は弁を開けて流量を絞ります。

 

 

 

【スペックポンプはここが違う】

”A社のポンプを使っていたんですが求める能力が出ないので困っています。代わりになるポンプは御社にございませんか?”

こんなお問い合わせが弊社にはよく来ます。他社製ポンプを装置に使用していたのですが流量が出ない・圧力がでない(特にこちらが多いです)ので困っているという内容です。スペックポンプの特徴は国内製ポンプメーカーと比べて高い圧力を出せるという点にあります。モーターサイズを大きくせずにです。どちらかと言えば国内製ポンプは大流量を出すなどの流量重視、スペックなどのポンプメーカーは高い圧力に強いという印象があります。

 

 

 

キャビテーションが起こり能力が出ない

ポンプの能力が出ない理由として多いのはキャビテーション(沸騰)または媒体にガスが含まれている状態です。キャビテーションの解消にはまず開きすぎた弁を絞り流量を下げることで、ポンプのNPSHRを下げて上げることが1つ。もう1つは押し込み圧のNPSHAを上げる方法で抵抗になりそうな直管配管をストレートに変えたり、ポンプ吸い込み口の配管のストレート部を出来るだけ長く、そして配管は太くするなどがあります。

 

【スペックポンプはここが違う】

キャビテーションが起こるポンプ側の原因としては、選定したポンプが能力ギリギリのポイントで使用されているという点にあります。例えば性能曲線の右端、バルブを全開にした流量最大のポイントで使おうとすれば、ポンプ側のNPSHR(必要吸い込み圧)もどんどん高くなっていきますのでいくら十分な押し込み圧を確保していたと思っていても、キャビテーションが起こる確率は高まっていきます。これを解決するには、既存の選定ポンプよりも能力に余裕を持ったワンサイズ能力が上のポンプを選定することです。

スペックポンプは国内メーカーポンプに比べてサイズがコンパクトであるとユーザー様に評価を頂いております。サイズはコンパクトであるけども能力はしっかりと出るという特徴もありますので、ポンプサイズを過大に大きくせずに要求の能力を出す事がスペックポンプでは可能です。

 

 

 

ポンプに必要な規格がない

EU圏内のにおける装置販売で必ず必要なCE規格、アメリカ市場向けに必要なUL規格、さらに中国向けのGB規格など、”あの国の規格がどうしても必要なんだが・・”というユーザー様からのお問い合わせはよくあります。 後日、追加で規格を取得しようとすると、費用と時間がかなり掛かってしまうと聞きます今後このポンプにはどのような規格が必要になってくるかは、選定前から考慮しておくことをお勧めします。能力やポンプサイズ以外でも重要な条件です。

 

【スペックポンプはここが違う】

こちらのページもありますようにスペックポンプは全てCE規格標準対応です。またUL規格、GB規格にも対応していますので、規格取得のための追加費用や時間などが掛かりません。

全ての製品がCE規格標準(米国-UL規格・中国-GB規格にも対応)

 

 

 

能力(圧力・流量)が足りない

ポンプを実際に装置内で動かしてみると、予想以上のシステム抵抗値の影響によって、流量が出なかったり、圧力が足りないという事があるかもしれません。そんな時にポンプを丸ごと交換するのは大変です。お手元にインバーターがあれば、ポンプに接続し回転数を上げる事で、モーターサイズの定格範囲内ですが、能力を上げられるかもしれません。

スペックが使用する誘導モーターならば下は45Hz上は65Hzまで周波数を可変することができます。またPMモーターポンプならば、もともとがインバーター駆動のポンプなので0~200Hzの広範囲で稼動点を選択することができます。

スペック社PMモーターポンプ 製品ラインナップへ

 

【スペックポンプはここが違う】

条件を元にポンプを選定し納品し、実際にユーザー様の装置で運転してみた時に、”欲しい能力が出ない!”というのが最も避けなければならない状況です。能力が出ないのを恐れるあまり、明らかに過大サイズのポンプを選定してしまうのも良くありません。特に今は装置のコンパクト化や省スペース化が様々な業界のユーザー様の現場で行われています 小さくかつ能力が出るポンプというのはある意味でマストの条件になりつつあります。

スペックポンプはまず他社ポンプに比べてコンパクトです。それ以上にコンパクトに関わらず高い圧力を出せるという特徴を持っています。そこにここで述べたようなVFDで回転数を制御できるPM同期モータータイプのポンプであれば、より広範囲な能力の選択が可能ですので、能力(圧力・流量)が出ないという状況を避けることができます。

 

 

 

使用主電源とモーター端子の配線が違う

日本国内では200V使用もあれば400V使用もあります。スペックモーター自体は200V・400Vのどちらでも使用できる共用モーターを使っていますが、モーター端子の配線は200V使用ならばΔ結線に、400V使用ならばY結線にする必要があります。

400V使用のY結線は左の図のように短絡バーが横にかかっています。これを200VのΔ結線にするにはY結線の短絡バーを取り除いてΔ結線に変えます。この使用電源と端子結線が違うとモーター損傷に繋がりますので、間違えずに結線する必要があります。

 

Y結線とΔ結線の例①

 

 

Δ結線の例②

   

 

【スペックポンプはここが違う】

国内モーターの200V専用モーターを使用しているポンプの場合では、使用過程において”400V電源で使用したい”と思ったとしても、400V電源で使うことはできません。200V用モーターは供給電源200Vのためのモーターだからです。仮に400V電源で使用すればモーターは故障します。

スペックポンプでは200V/400V共用のマルチモーターを採用していますので、上図のように端子箱内の端子バーをΔ(200V)用かY(400V)用かに変換するだけで、好きな供給電源でポンプを動かす事ができます。例えば国内向けに販売していた装置を、400V電源の海外向けに販売したいとなった場合も、同じポンプのままで結線を変更するだけで対応できます。

 

 

 

 

 

平行ねじ(Gねじ)とテーパーネジ(PTねじ)の接続

最高350℃の高温油用のスペックポンプTOEシリーズには下記の写真のようにカウンターフランジが付いています。

カウンターフランジはねじこみ式(平行ねじ または テーパーネジから選択)か 溶接式の2種類から選ぶ事が出来ます。

 

Gねじ接続の場合、ねじ込む配管もGねじである必要があります。またGねじ同士ですと、どこまでもねじ込めてしまいますので、めすねじの底にOリングを入れるか、おすねじの方にOリングを挟むかします。めすのGねじにおすのPTねじを入れることはできません。PTねじ接続の場合、ねじ込めるのはおすのPTねじになり、この場合Oリングなどを入れる必要はありません。ユーザー様によってはシールテープをGねじやPTねじに巻き、より漏れにくくする場合もございます。

 

 

 

使用媒体が漏れる

お使いのポンプのシール部がメカニカルシールタイプのポンプですと、使用時間と共にメカニカルシールが摩耗してその部分から漏れを起こす場合がございます。一般的にメカニカルシールの耐用時間は8000時間と言われています。

 

 

【スペックポンプはここが違う】

メカニカルシールの交換が手間であったり、高価な媒体が気づかない間に漏れて困るという場合には、スペック社の主力商品であるマグネットカップリング型のポンプをお勧めします。

マグネットポンプの原理1  マグネットポンプの原理2

マグネットポンプ                     メカニカルシール

マグネットポンプは上図の通り、モーターシャフトとポンプシャフトの間に、外部マグネットと内部マグネット、そして媒体を完全に受け止めるCanと呼ばれるものが入っています。モーターシャフトにより回転された外部マグネットはCan内部にある内部マグネットを磁力により回転させます。Can部により媒体は完全に密閉されていますので、外に漏れる事がありません。内部マグネットと繋がったポンプシャフトが回転しその先に付いているインペラーを回転させる事で、媒体は圧力を得ながら吐き出されていきます。

スペックマグネットポンプのラインナップ一覧

 

 

 

人的要因(ヒューマンエラー)

 

機械的理由ではなくポンプを稼動させる作業者によるトラブル例もございます。

・ポンプが逆転している  →端子箱内のUVW結線を変えてください

・媒体がポンプに満たされていない状態での空運転 →空運転はポンプの故障に繋がります。運転前に媒体が投入されているかご確認ください。

 

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