渦巻きポンプ

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渦巻きポンプは、そこまで高い圧力は必要とせず大きな流量だけが欲しい用途に適したポンプです。内部循環系に使用される事が多いポンプです。スペック社のマグネットポンプにはカスケードタイプと言われる、低流量・高圧のインペラーが主に使われていますが、こちらの渦巻型マグネットポンプも用意してあります。

こちらはスペックポンプの代表的な大流量用渦巻きポンプ3タイプの比較ページです。

大容量渦巻きポンプ SRポンプ・MUポンプ・TOEポンプの比較ページ

 

 

渦巻きポンプとカスケードポンプの違い

 

マグネットポンプというのはこのように媒体を完全に密閉しながら、磁力の力でインペラー部を回転させる事で媒体を輸送するポンプの構造になります。そしてマグネットポンプ構造を使ったポンプの中では更に大きく分けて2つの遠心ポンプである カスケードポンプタイプと渦巻きポンプタイプに分けることができます。

 

■カスケードポンプと渦巻きポンプの外観の違い

カスケードポンプの形はポンプヘッド部が平でフラットな形であることが特徴的です。渦巻きポンプのヘッド部は丸いお椀のような形をしています。この形の違いはそれぞれのポンプが持つ性能的特徴の違いによるものです。

カスケードポンプ                  渦巻きポンプ

       

 

 

 

             

 

■カスケードポンプと渦巻きポンプの構造の違い

カスケードポンプ

カスケードポンプで使われているインペラー羽根には無数のvaneと呼ばれる小さい突起物が付いています。吸い込み口から入った液体はポンプ内壁に沿って、この無数のVaneによって生み出される強力な渦によって繰り返し加圧されることで、吐き出し口から出るまでに高い圧力を生み出します。インペラーとケーシングの間の溝の深さは狭く、1つ1つの突起物がこの狭い溝の間に無数の渦流を起こして、一周する間にどんどん圧力を高めるのです。

カスケードポンプではバルブを絞ると圧力がどんどん高まっていきます。その性能曲線は渦巻きポンプに比べて傾斜が強いです。また弁を絞る程に圧力が高まるため、締め切り運転に近くなるほどに流量は上がります。よってカスケードポンプの始動時は弁を開放して起動する事で電流値を抑えて運転します。またNPSHR(必要吸込みヘッド)は渦巻きポンプの場合、流量が上がる程に急激に上昇するのに対し、カスケードポンプの場合、流量上昇ほどにそれほど変化はありません。

カスケードポンプの性能的特徴は、小流量/高圧力を生み出せるポンプです。渦巻きポンプの特徴は大流量/低圧力を生み出すポンプです。

   

 

渦巻きポンプ

渦巻きポンプはインペラーをケーシング内で回す事で、遠心力の力で媒体に圧力と速度のエネルギーを与えるポンプです。渦巻きポンプはカスケードポンプとは違い、流量が上がる程(弁を開ける程)に消費電力値が上がります。圧力が上がる程、消費電力値が上がるカスケードポンプとの大きな違いです。ですので渦巻きポンプの起動時では、なるべく弁を締めて流量が少ない状態で運転をスタートさせる方が、モーターに負担が掛かりません。

 

 

 

性能曲線もカスケードタイプに対して、傾斜がゆるいカーブになっています。流量に対して圧力差が少ないのが特徴です。またカスケードポンプよりも圧力を出すことは出来ませんが、大流量の媒体を流すことができます。ポンプ内の写真を見ると、渦巻きポンプは圧力ではなく流量を多く出すための構造に、カスケードポンプはより圧力を出すための構造になっていることが分かります。

 

ポンプ性能曲線の読み方

ポンプの性能曲線には、流量と圧力の2つが示されています。詳細なデータでは、その際の軸動力(モーター消費電力)・NPSHR必要吸込みヘッド・ポンプ効率なども記されています。この性能曲線はあくまでポンプ単体が行う仕事を示しています。ポンプの先にあるバルブ弁によって失われる圧力などは含まれていません。ポンプが作り出す圧力、ポンプが送り出す流量がこの性能曲線には記されています。

ただしこの性能曲線だけではポンプの稼働点は決まりません。ポンプの稼働点(圧力・流量)を決めるのは、ポンプの先にあるシステムが持つ抵抗値です。システム抵抗値の曲線との交点により、ポンプの稼働点が1点に決まります。システム内のバルブを閉めることによりシステム抵抗値が上がれば、その曲線は左に寄ります。すると、ポンプの稼働点は流量が下がり、圧力が高くなる交点に移動します。反対にバルブを開放すれば、システム曲線は右に寄り、流量が上がり圧力は下がる交点に移動します。

ポンプの稼働点を決めるのはポンプ自身ではありません。ポンプは常に与えられた回転数で100%で仕事を行うだけです。そのポンプの先のシステム抵抗が、ポンプの稼働点を決定しています。

 

ポンプ流量・電流値とシステム抵抗値の関係

ここではスペックポンプ主力製品のカスケードインペラータイプのポンプを元に説明します。カスケードタイプのポンプは渦巻型インペラーのポンプとは異なり、流量を上げるほど(バルブを開けるほど)に電流値は下がっていきます。反対にバルブやシステム抵抗値の上昇により流量が絞られるほどに電流値は上がっていきます。

先程も説明しましたが、ポンプのパフォーマンスはポンプ自身が決めるのではなくポンプが組み込まれているシステム回路全体の抵抗値によって決められます。例えば上の図では、バルブや熱交換器を通る配管などがポンプが流そうとする仕事に対しての抵抗になります。バルブや熱交換器などの数が増えるほどに回路全体のシステム抵抗値は上がりますので、その分だけポンプは十分な圧力を持って媒体を送り出さなければ十分な流量を熱交換器などに送りこむことができません。

 

例えば上のグラフにある黄緑色の曲線が回路のシステム抵抗値を示します。この曲線とポンプの性能曲線である赤い直線(流量と圧力)が交差する点がポンプの稼動点に決まります。ここでは黄色い点の【42 l/m at 22m】というのが稼動点です。そしてその時の電流値は青い直線との交点である【5.3A】付近になります。

そしてシステム抵抗値が増す、つまりバルブや熱交換器が増えたり、配管が細いものになったりL字型エルボが増えたりすると、回路全体のシステム抵抗値は増します。下の図のように黄緑色のシステム抵抗値の曲線は左側へ傾きの強い曲線に変わります。

 

システム抵抗値が増す要因

・バルブや熱交換器などの流量の抵抗になるものが増える

・配管が細くなる

・L字型のパイプ部分が増える

何らかの要因でシステム抵抗値が増すと上の図のように曲線は傾きの強い左側に寄ったものに変わります。ここで注目したいのがポンプの出す流量とその時の電流値の関係です。

回路の抵抗が増えたので当然ポンプが媒体を流しにくい状況になっています。具体的に数値で見るとシステム抵抗曲線と赤いポンプ性能曲線が交わる黄色い点がポンプの稼動点になり、【25l/m at 30m】になります。先程と同じ回転数のポンプであるにも関わらず、【42 l/m at 22m】→【25l/m at 30m】へと流量は減りました。(圧力は抵抗が増えたぶん上がっています。) その時の電流値は【5.6A】です。システム抵抗が上がる前は5.3Aでしたので、電流値もシステム抵抗値の上昇と共に上がっています。つまり、回路全体がポンプにとって媒体を流しにくい状態に変わったのでポンプが出す流量は減り、またその時の電流値は上がったのです。

 

実際の現場ではシステム回路に流量計のみを取り付ける場合が多いですが(圧力計は付けないケース)、流量とその時の電流値のデータを取る事ができれば、そこから大体のポンプが出す圧力を求める事が可能です。

流量計も圧力計も取り付けていないというケースではあまり正確ではありませんがポンプの性能曲線と稼動中のポンプの電流値を取る事ができればその時の大体のポンプの稼動点(流量と圧力)を性能曲線から予測することもできます。電流値が定格ギリギリの値になっているとするならば、システム抵抗値とポンプ性能曲線の交点がかなり左側に寄っているという事ですので、流量はかなり絞られていると考えられます。またポンプの仕事量がかなり大きい状態とも言えます。システムの抵抗値がかなり大きい状態です。

反対にその時の電流値が低い状態を示しているならば、交点は右側に寄っているという事ですので、流量は十分に出ていると考えられます。ポンプの仕事量は適正と言えるでしょう。システム抵抗値も小さい状態です。

しかしケースによっては電流値だけを見て判断を誤ってしまう事もあります。例えばポンプ内に異物が挟まっている場合、モーターへの負荷は高くなり電流値はかなり上がっているでしょう。これはシステム抵抗値が大きいのではなくポンプ自体に問題がある状態です。反対に電流値が極端に低い場合にポンプの流量はかなり出ていると考えたいですが、空運転というインペラ部に流体がない状態、流体に空気が混じっている状態では電流値は低い状態になります。この状態のときには流量は出ていませんので電流値だけで判断することができません。

ここではあくまでカスケードタイプでのインペラーの説明です。渦巻型インペラーの場合は消費電力の動きが反対になりますので注意してください。

 

 

カスケードインペラー(圧力型):流量が絞られるほどに消費電力(電流値)は上がっていく。そのためスタート時はバルブ全開にして消費電力を抑えてスタートさせる。

渦巻きインペラー(流量型):流量が出る程に消費電力(電流値)は上がっていく。そのためスタート時はバルブを絞る閉塞運転で消費電力を抑えてスタートさせる。

 

なぜこのような違いが起きるのかと言うと、カスケードインペラータイプはその構造上、密閉された圧力がどんどん上がるような構造になっています。反対に渦巻型インペラーはケーシング内は開通しており圧力よりも流量が多く出るための構造になっています。

 

ポンプ吐き出し口とバルブによる圧損の見方

ポンプの性能曲線はあくまでポンプ吐き出し口における能力を示しています。ポンプ吐き出し口の能力とはそのポンプが生み出す差圧と送り出している流量の事です。従来のポンプの能力制御はポンプ吐き出し口の後に付けるバルブ開閉による調整が主流でした。

 

しかしバルブを通過する際にポンプから送り出される圧力は損失しています。これは性能曲線の見方についても同じで、システム抵抗曲線とポンプ性能曲線との交点はあくまでポンプ吐き出し口の能力になります。実際の回路ではバルブ通過後の流量や圧力が重要になってきますので、下図の性能曲線の青い交点つまりポンプ吐き出し口の能力だけを見ても不十分になります。

 

下記の性能曲線で見るとバルブ通過後の圧力は赤い点になります。バルブで流量を絞るとここまで液体に与えられる圧力は落ちるのです。

このバルブによる失われた圧力損失分が無駄に消費されてしまったエネルギー分と言えます。この無駄に消費されたエネルギーはそのままポンプ消費電力の浪費となります。

 

 

 

 

バルブ制御が要らないPMポンプという回転数制御

スペックポンプにはPMポンプというVFD駆動タイプのポンプがあります。回転数を1000~4000回転に自由に変える事で幅広い能力をカバーできる省エネにも適したポンプです。幅広い回転数でポンプを運転できるという事はこれまでのようなバルブによる制御が要らなくなるという事でもあります。つまりこれまでのバルブによる圧力損失がPMポンプのような回転数制御のポンプの場合には起きなくなるのです。

 

 

 

下記の曲線はPMポンプの1000~4000回転の曲線を示しています。黄緑色のシステム抵抗曲線との交点は最大能力になる4000回転時には青い点になり、もう少し流量を落としたい場合はバルブを絞る代わりに3000回転まで落とし赤い点にします。この時にはバルブがないためにバルブによる圧力損失は起きていません。バルブによりエネルギーロスが起きないため、PMポンプの消費電力は常に必要最小に留めておくことが可能になります。

 

 

渦巻きポンプの吸い込み径と吐き出し径

 

ポンプには吸い込み接続と吐き出し接続があります。特に吸い込み接続は吐き出し接続のように高い圧力で押し出す部分ではなくポンプに吸い込まれる部分でありますので、しっかりとポンプに媒体を流すためにその吸い込み配管系にはデリケートになる必要があります。

具体的に言えば、吸い込み配管系はより太く、そしてポンプの吸い込み口に入る直管系はなるべく長めのストレート管にする事で、ポンプ吸い込みへの流速を抑え、安定してポンプに媒体が入る必要があります。実際にスペックポンプの渦巻きポンプでは、下図のように吸い込み口が1サイズ分、吐き出し口より大きくなっています。

 

スペック社 新型 渦巻きポンプの紹介

 

これまで国内では、主にカスケードタイプポンプ(小流量 高圧力)の実績が多かったスペックポンプにも、新しいタイプの渦巻きポンプが登場しています。

       

 

 

  ① SR032125 冷却用キャンドモーターポンプ

 

キャンドタイプのコンパクトなSR032125は水やエチレングリコールを用いた冷却装置用のポンプとして使われています。

 

 

MY4-PM 省電力PMモーターマグネットポンプ

MY4-PMポンプは、PMモーターを使用したインバーター駆動型ポンプです。モーターサイズもわずか0.45kwの省電力でありながら最大120l/mの流量を出す事ができます。今後、1.1kw 2.2kwタイプも出て、最大150l/m 200l/mが可能になります。通常のマグネットポンプCY-6091-MKではカバーしきれなかった稼働点をカバーできるようになります。

 

 

 

MU-MK-PM  PMモーターマグネットポンプ

 

MU-MK-PMタイプはPMモーターを使用した渦巻き型マグネットポンプです。モーターサイズも1.5kw-2.8kw-4.0kw-5.3kwから選択でき、最大流量400l/m  最大圧力100mまでの能力を出すことができます。

 

 

 

キャンドモーターポンプとマグネットポンプの違い

キャンドモーターポンプはポンプとモーターが一体化し、使用媒体が密閉される構造になったポンプです。モーターコイルに流れる電流によって回転磁界が生じることでシャフトが回転します。モーターの回転がそのままインペラーの回転に直結する構造になっているため、マグネットポンプよりもコンパクトでシンプルな構造です。

 

【TOE-MAシリーズ】

 

特にこのTOEMAシリーズの渦巻ポンプは、熱媒向け温調装置に使われています。他社メーカーにある水冷式ではないため、サイズもコンパクト設計です。流量も200~800l/mの大流量が可能で、最高温度も350℃まで使用できます。

渦巻きポンプとNPSHR(必要吸込みヘッド)

渦巻きポンプを使用する際の注意点は、ポンプ性能曲線の右端(最大流量近く)で使う際にNPSHR(必要吸込みヘッド)がぐんと上がる事です。NPSHRとはポンプ内で失われてしまう圧力になりますので、最大流量に近づくほど、渦巻きポンプではこの値が大きくなってしまいます。NPSHRの上昇と共にキャビテーションが起こるリスクも高まりますので、渦巻きポンプを選定する際は、最大流量に余裕を持った選定が必要になります。

渦巻きポンプとカスケードポンプの消費電力(軸動力)の違い

 

渦巻きポンプの性能曲線

渦巻きポンプの軸動力曲線は流量が上がる程、軸動力も上がっていく右上方向の直線になります。吐出側の弁を開くほど流量が上がり軸動力も上がるため、運転スタート時は弁をやや締めた状態で稼働させます。この方が渦巻きポンプではモーター軸動力が上がらないからです。

 

 

カスケードポンプの性能曲線

カスケードポンプの軸動力曲線は圧力が上がる程、軸動力も上がっていく左上方向に延びていく直線になります。ですので吐出弁を締める程、圧力も上がり軸動力が上がっていくため、運転スタート時には弁をやや開いた状態で稼働させます。この方がカスケードポンプでは軸動力が上がらないからです。

渦巻型ポンプ(ロータリーポンプ ラジアルポンプとして知られる)は 連続水圧輸送機器です。

数十年の間、スペックは用途に特化した渦巻型ポンプの開発、製造を行ってきました。特に高温媒体輸送システムの分野において革新的な技術を確立しました。

750 m³/h  400 mまでの最先端の稼働において, スペック社は目立った研究のためのフレームワーク、継続したテストを行っています。

用途エリア

  • 比較的に低圧で大流量の用途に適しています
  • 不純物が含まれていない媒体の使用に適しています
  • インペラーの直径を変えることで稼働点の調整を行うことができます。高圧を達成したい場合はインペラーを数枚使った多段式にする事で可能になります。
  • 通常の呼び水 ガスを含んだ媒体の輸送には適していません
  • 渦巻きポンプはインペラーをカバーケーシングで囲っています。ECモーターの小型ポンプ用では、インペラーとベーンが囲まれています。
  • ケーシング付の一段式の渦巻ポンプと並んで、多段式の水平渦巻きポンプも用意しています。
 
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