野人・岡野から三笘の1mmへ PMポンプの登場

 

時代が経てば、常に革新的な発明やニュータイプと呼ばれる人類が現れてくるものです。ついこの間まで新しいとされていたものが、今となっちゃ古くなっている。例えば、今の10代20代の若者達の価値観は10年20年前のそれとは大きく変わっているかもしれません。

24時間、闘えますか?という某CMが流行っていたのがバブル絶頂期の日本社会とすれば、いまの若者は、24時間、チルできてますか? みたいな価値観もしれません。

 

ポンプも同じです。

これまでのポンプは槇原敬之のどんなときもの歌のように、どんなときもどんなときも100%の力で回り続けるためにぃ~の世界でした。まさに24時間、フルパワーで戦い続けるビジネスマンのような存在がこれまでの誘導モーターポンプ。ある意味で自分に手加減を知らない世代です。

間違えて異物を吸い込んだり、先にあるバルブが閉じられて締め切り運転チックになって、モーター過電流に例えなっても、愚直に100%で回り続けるため、何らかの保護装置つまり有給休暇なり会社をずる休みをしなければ、そのままバーンアウトしてしまうのに、ぼろぼろになってでも会社に行く、というのがこれまでのポンプでした。

 

 

■常に100%じゃなくて柔軟にやりましょうよ

そこに新人類のポンプが現れます。それがPMモーターポンプです。彼らニュージェネレーションは、これまでの昭和世代とは違う価値観・やり方を持っています。

これまでのポンプの代名詞的特徴であった、“どんなときも100%の回転数で回り続けます!”という価値観ではありません。常に臨機応変、抜くときは抜く、やる時はやる。相手の状況(ここではモーター定格電流値と言う名のパラメーター)次第で、自分の回転数を落とします。野人・岡野から三笘の1mmへ、これがポンプ業界にも起きている進化です。

 

 

PMモーターの曲線はこのように最高回転数4000rpm付近で曲線のように曲がっています。自身のモーター定格電流値を超えそうになったら、自動的にそれ以上回転数を上げないように減速します。これが彼らなりのチルポイントになります。

つまりモーター定格値という自分の体力の限界を超えそうになったら自動的に力を抜きます。燃え尽きないために。常に100%で自分を追い込むのではなく、やばくなってきたら回転数を落とす。そうすることで長期的にパフォーマンスを発揮できるようにする。これが彼らのやり方です。

常に100%ではなく、状況によっては肩の力を抜いたりして柔軟に効率的にやりましょうよ、という昭和世代から見たら一喝されるようなスタイルがこのPMモーターポンプに近い気がします。

 

そして確かに彼らPMモーターのモーター効率はIE4以上と確かに高いのも事実です。

現代サッカーは一昔前のJリーグ創世記のようなサッカーとは違い、目立ってなんぼの世界ではありません。スタッツ(統計)という言葉が頻繁に使われるように、いかに効率的に攻撃を仕掛けられているかが重要な数学のようなゲームになってきています。シュートを外しまくって1ゴールの選手よりも、1シュート1ゴールの選手が評価される時代です。

日本を初のワールドカップに導いた野人・岡野はその魅せるスピードで、日本サッカー界が後にも先にも持ちえなかった個性・スター性を兼ね備えた選手。個人的に私が1番好きな選手かもしれません。その姿はいきなり100%の回転数で回り続け、相手DFを抜き去っていくこれまでの誘導モーターポンプのようです。

時は経ち、野人と同じフォワードというポジションながら、相手DFの動きを見ながら自身のプレー選択を変えると言われる1mm 三笘。力を抜くときは抜き、加速すべきときは一気に加速するその姿は、まさにPMモーターポンプのようです。

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