スペック社のギアポンプZYシリーズはヨーロッパでEV(電気自動車)用・急速バッテリー充電器の冷却ポンプとして採用されています。
短時間でバッテリーを充電するためには、電流値の引き上げと高出力化が必要です。しかし充電器が高出力化になれば、それに伴い発生する熱も大きくなっていきます。
CHAdeMoと呼ばれる日本の急速充電方法では2020年にはチャージ(充電)接続口が強制液冷仕様の60℃以下制御となっていますが、そこまで発熱温度が高くはないために現状での冷却方法は空冷が主流となっています。日本のCHAdeMoでの充電器は最大でも50kwです。
欧州の急速充電方法であるCCS(Combined Charging System 通称コンボ)では既に最大350kwの充電器を実用化しチャージャーのコネクターも高温下します。その場合、日本のような空冷方式ではチャージャーを充分に冷却できず、水冷の冷却方式が主流になっています。
欧州では長距離運転をする車が多く、そのためには短時間の充電器が必要という背景があります。反対に日本では短距離運転の車が多く、充電器とコストの兼ね合いで現状のような最大50kwという背景があります。
ヨーロッパにおいて充電器コネクターの先端に熱媒体を流して冷却しているのがスペック社のZYギアポンプです。
ZYギアポンプがEV充電器に採用される理由
1.小型サイズかつ高圧力
一般的にEVの急速充電器(High Power Charger)の中のスペースは非常に限られた狭いスペースになっています。それゆえに使用ポンプも小型サイズが求められます。また充電器の狭いスペースには同様に小型の機器がたくさん入っており、ポンプに掛かる対圧も非常に大きくなります。よって小型ポンプでも高い圧力を必要とするZYポンプになります。
2.回転数を自由にコントロール
ユーザーの多くはポンプ回転数を自由に可変できるタイプを好みます。ZYポンプはBLDCモーターを搭載し、回転数を自由に動かすことができます。
3.低脈動
ZYポンプはほとんど脈動を起こさない低脈動ポンプです。全く脈動を起こさないことが理想ですが、上記の小型サイズ・高圧力・回転数可変というメリットで選ばれています。
【能力の特徴】
・容積式ポンプによる高圧力・低流量
・脈動が少ない
・30/80Wの低電力モーター
【モーターの特徴】
※BLDC(ブラシレス)キャンドモーター
※BLDC(ブラシレス)モーターとは・・通常、DCモーターにはブラシと呼ばれる回転子のコイルに流れる電流の向きを変えるものが付いていますが、ブラシには寿命があったり、効率はさほど良くありません。このブラシをなくして、その代わりに回転子に永久磁石を使用したものがブラシレスDCモーターです。永久磁石の回転子はブラシ付きモーターとは違い、周囲にある固定子のコイルと磁力で引き合うことでモーターを回転させます。ブラシによる寿命もなく、コイルがない分だけモーター効率も高いです。
・メンテンナスフリー
・回転数可変可能
【ポンプ能力】
【材質】
ケーシング:GGG40 鋳鉄
ギア:1.7131 ステンレス鋼
ベアリング:ブロンズ