どんなときもどんなときも ポンプがポンプらしくあるために・・

 

“どんなときも”と誰かに言われれば、現在30代から50代の90%の人は、僕が僕らしくあるために・・と人知れずつぶやきながら拳を握りしめ、自分で自分を鼓舞しているのではないか、それくらいの影響力があるとされる槇原敬之作のどんなときも。という名曲があります。

好きなものは好きと言える気持ち抱きしめてたい。

この歌を聞くたびに、ポンプがポンプらしくある状態、いやポンプがまさにポンプである状態とはどういう状態か、そんな事を考えます。

ポンプという機械を人間に例えた表現として、よく分かりやすいのが、“ポンプは常に100%で回り続けるだけ。80%でも20%でもない。とにかく、どんなときも100%の手加減を知らない奴”というものです。

近くにいたらちょっと嫌ですね。

 

 

巷でよく誤解されがちなのが、ポンプの揚程と圧力の違いです。

 

 

■ポンプにおける揚程(m)と圧力(MPa/bar)の違いは何?

そのポンプが水を何mの高さまで持ち上げることのできるかを示す値が揚程(m)です。揚程30mのポンプと言えば、水を30mの高さまで持ち上げる事のできるポンプです。いや、水だろうが油だろうが何だろうがそのポンプは”水を30m、水をとにかく30m”の力で持ち上げようとします。ただし、あくまで揚程は水を何mまで持ち上げられるか。油でも何でもななく水使用の単位です。つまり、媒体は油で揚程5mのポンプという表現はありません。

 

30mの揚程を持つポンプは、どんな時もどんな時も30mの力で水を押し出そうとします。そのポンプがそのポンプらしくあるために。

 

 

 

ではポンプにおける圧力(MPa)とは何でしょうか? 

これは圧力なので、単位面積あたりにかかる力です。

水で揚程10mの仕事をするポンプは、0.1MPaの圧力を生み出すポンプと同じです。なぜなら水の密度は1.0(g/cm3)だからです。

 

ではポンプが送り出す媒体が、水(密度 1.0g/cm3) から 油 (密度 0.8g/cm3)に変わった場合はどうでしょうか。密度は単位体積あたりの重さを示す値ですので、油は水よりも軽い媒体と言えます。その油を10m持ち上げるのと、水を10m持ち上げるには、同じ10mでも掛かる圧力が異なります。

 

ポンプは常に100%の力で回転していますので、重さの違う水も油も等しく10m持ち上げようとします。水だろうが油だろうが、ポンプはマッキーのメッセージ通りにどんな時も自分の持てる力を100%発揮するだけです。

つまりここでは、どんなときもどんなときも10m。

 

どんな媒体でも水10mの高さまで持ち上げようとしますが、同じポンプで考えると、その時に掛かる圧力は水0.1MPaに対し、油は0.08MPaしかありません。密度0.8(g/cm3)の少ない油を送り出しているからです。しかし、ポンプにとって大事なのは揚程(m)、つまり水10m持ち上げる事なので、そこで掛かる圧力(MPa)は知ったこっちゃありません。

しかしその時のモーター軸動力は、ポンプは水より軽い油を持ち上げているので、水に掛かる消費電力の0.8倍に減っています。逆に1.8g/cm3などの密度の大きいフッ素系媒体などを送り出すときは、フッ素系媒体1.8MPaの大きな圧力が掛かります。重い媒体を送り出しているからです。その時の軸動力も1.8倍に上がっています。

 

何かしらの異物がポンプに入ったり、インペラーがロックしてしまっても、ポンプは100%で回り続けます。そしてモーターは焼損します。どんな状況でも自分の100%の力を発揮するのがポンプです。

 

どんなときも。の歌いだしはこんな歌詞で始まっています。

 

僕の背中は自分が思うより正直かい?

誰かに聞かなきゃ不安になってしまうよ

 

ポンプに対して

大丈夫、お前は誰より自分に正直だよ、そう自分なら声を掛けるかと思います。

 

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