ポンプ性能曲線の読み方

ポンプの性能曲線には、流量と圧力の2つが示されています。詳細なデータでは、その際の軸動力(モーター消費電力)・NPSHR必要吸込みヘッド・ポンプ効率なども記されています。この性能曲線はあくまでポンプ単体が行う仕事を示しています。ポンプの先にあるバルブ弁によって失われる圧力などは含まれていません。ポンプが作り出す圧力、ポンプが送り出す流量がこの性能曲線には記されています。

ただしこの性能曲線だけではポンプの稼働点は決まりません。ポンプの稼働点(圧力・流量)を決めるのは、ポンプの先にあるシステムが持つ抵抗値です。システム抵抗値の曲線との交点により、ポンプの稼働点が1点に決まります。システム内のバルブを閉めることによりシステム抵抗値が上がれば、その曲線は左に寄ります。すると、ポンプの稼働点は流量が下がり、圧力が高くなる交点に移動します。反対にバルブを開放すれば、システム曲線は右に寄り、流量が上がり圧力は下がる交点に移動します。

ポンプの稼働点を決めるのはポンプ自身ではありません。ポンプは常に与えられた回転数で100%で仕事を行うだけです。そのポンプの先のシステム抵抗が、ポンプの稼働点を決定しています。

ポンプの選定方法

ポンプを選定するには、使用電源(例えば200V 50Hz)、使用媒体(水、油、ガルデンなど)、使用温度(-40℃~100℃など)、稼動点(30l/m at 30m など)が必要な情報となります。このほかにもインバーターの使用などの情報があれば、より最適なポンプを選定できます。

粘度はポンプの運転にどのように影響するか?

媒体が水の場合は、20℃であっても80℃であっても、水の粘度はほぼ変わりません。しかし媒体が熱媒循環油や不凍液(LLC)になりますと、低温の状態では粘度が非常に高くなる場合があります。媒体の粘度が高いということは、それを回すマグネットポンプの軸動力にも大きな負担が掛かるという事ですから、粘度が高い状態(媒体温度が低い状態でスタートするコールドスタート時)にはモーターサイズの容量に注意する必要があります。具体的には通常の選定よりも、粘度分だけモーター容量を大きくしたり、媒体が十分に温まり、粘度が低くなってから運転を開始するなどです。また粘度が高くなると、ポンプの流量や圧力にも影響してきますので注意が必要です。反対に媒体粘度が0.5mm2/s 以下などの非常に低い値の時にも、ポンプの運転に影響しますので注意する必要があります。

キャビテーションを防ぐには?

媒体の沸騰現象であるキャビテーションを防ぐには、ポンプ側からのアプローチとシステム配管側からのアプローチの2つがあります。ポンプ側から考えますと、まずポンプ固有の値であるNPSHR必要吸込みヘッド(ポンプ内で減少する圧力)の値が低いポンプを選定することです。NPSHRが元々低いポンプであれば。ポンプ内の圧力減少も少ないのでキャビテーションは起こりにくくなります。または渦巻きポンプなどは特に、性能曲線の右端でポンプを使うとNPSHRが急激に高くなります。大流量を出したいからと言って、ポンプ能力ぎりぎりの最大流量で使うと、キャビテーションは起こりやすくなるので、余裕を持ったポンプの選定が必要です。

配管側から考えますと、ポンプへの押し込圧(NPSHA)を高くすれば、ポンプ内で失われる圧力をカバーすることができ媒体の飽和蒸気圧以上に保つことができます。具体的にはポンプ吸い込み側に入るタンクの高さを上げて押し込み圧を上げたり、吸い込み側の配管径を大きくして圧力損失を少なくしたりなどです。

 

ポンプの運転で注意することは?(空運転 締め切り運転 異物混入)

ポンプの運転で特に気を付けたい点は以下です。

①空運転・・・ポンプ内に媒体が入っていない状態でポンプを回してしまうこと。媒体がない空の状態で回されたポンプ内部は急激に温度上昇し故障の原因になります。ポンプ内に確実に媒体が満たされているか確認の上でポンプをスタートさせてください。

②締め切り運転・・カスケードポンプでは吐出し弁を閉め切った状態(流量が0に近い点)で運転しますと、圧力が急激に高まり、ポンプ内部の温度、媒体温度が上昇し、ポンプ故障の原因になります。またモーター過負荷の原因にもなりますので、短時間でも締め切り運転はしないようにします。

③異物混入・・ポンプヘッド内に媒体以外の固形物が入ってしまうと、インペラーなどの部品を損傷させる原因になります。吸い込み側にストレーナを付けるなどして、ポンプ内に異物が混入しない状態を作ることが重要です。

④吐き出し側でバルブ調整を行う事・・吸い込み側でバルブ調整を行うと、ポンプ内の圧力が急激に下がるためキャビテーションを引き起きしやすくなります。バルブ調整は必ず、吐き出し側のバルブ弁で行います。

⑤ポンプのちょい回し・・スタート時はポンプの回転方向。異音または振動がないかをチェックするために、ポンプを少しだけ回してみる事で確認をする

ポンプにおける揚程(m)と圧力(bar/MPa)の違いは何?

そのポンプが水を何mの高さまで持ち上げることのできるかを示す値が揚程(m)です。揚程30mのポンプと言えば、水を30mの高さまで持ち上げる事のできるポンプです。ではポンプにおける圧力(bar/MPa)とは何でしょうか? これは圧力なので、単位面積あたりにかかる力です。水で揚程10mの仕事をするポンプは、0,1MPaの圧力を生み出すポンプと同じです。これは1barの圧力を生み出すポンプとも言えます。

ではポンプが送り出す媒体が、水(密度 1.0g/cm3) から 油 (密度 0.8g/cm3)に変わった場合はどうでしょうか。密度は単位体積あたりの重さを示す値ですので、油は水よりも軽い媒体と言えます。その油を10m持ち上げるのと、水を10m持ち上げるには、同じ10mでも掛かる圧力が異なります。ポンプは常に100%の力で回転していますので、重さの違う水も油も等しく10m持ち上げようとします。結果的に10mの高さまで持ち上げますが、同じポンプで考えると、その時に掛かる圧力は水0.1MPaに対し、油は0.08MPaしかありません。密度が少ない油を送り出しているからです。またその時のモーター軸動力も、ポンプは水より軽い油を持ち上げているので、水に掛かる消費電力の0.8倍に減っています。逆に1.8g/cm3などの密度の大きいフッ素系媒体などを送り出すときは、フッ素系媒体1.8MPaの大きな圧力が掛かります。重い媒体を送り出しているからです。その時の軸動力も1.8倍に上がっています。

自給式ポンプと呼び水

通常、ポンプの始動時には呼び水と呼ばれる、ポンプ自身と接続された配管内全てに使用する媒体で満たします。呼び水をする事でポンプや吸込みの空気が追い出され、下の位置にあるタンクからの媒体を汲むことができるようになります。押し込み運転のようなポンプがタンクより下方にあるような回路では、タンクに液体が入ればポンプ本体と配管は液体で満たされますが、ポンプよりも下にあるような媒体を汲みこむ際にはこの呼び水が必要です。

自給式ポンプと呼ばれるポンプはポンプ本体に呼び水するだけで揚水してくれます。非自給式ポンプには自給能力はなく、吸い込み管の先にフート弁を付けて、ポンプ本体のみならずタンクに繋がる吸い込み配管全てに呼び水をする必要があります。

ポンプにインバーターを付けるとなぜ省エネになる?

ポンプは常に決められた回転数で100%で動き続けています。ですので、同じ稼働点を出しながらもポンプの消費電力をセーブするには回転数を下げるしかありません。通常のバルブ開閉による流量調整では、媒体がバルブ弁を通過する際に圧力損失を伴います。これがポンプ効率のロスになります。これをインバーターによる回転数調整に変えると、バルブで起こる圧力損失が無くなります。ですので回転数を既存値より下げても、達成したい稼働点を出すこともできます。これによりポンプの省エネが達成できるのです。

吐出し側バルブ弁とバイパス弁の流量調整の違い

求めている稼働点に向けて吐出し側のバルブ弁を絞ると、モーター過負荷になってしまうようなポンプの場合、バイパス弁を開放して再び媒体を吸い込み側に戻す事で、モーターの過負荷を防ぐことができます。低流量・高圧の稼働点で過負荷になるようなカスケードポンプでは、吐出し側のバルブ弁は負荷が掛からない大流量のポイントで開放しながらポンプを動かし、バイパス弁を開けて逃がす事で流量を下げます。バルブ弁では流量を下げれば消費電力が上がりますが、バイパス弁はポンプ自体の仕事量は一定のまま、バイパス配管を使う事で、過負荷にならないように流量を下げる事ができます。

インペラーサイズと能力の関係

ポンプの能力を変える際に、インペラーカットという方法があります。インペラーサイズを小さくすることで、適正なポンプ能力に落とす方法です。インペラーの直径は圧力、インペラーの幅は流量に影響します。この2つを調整する事でポンプの能力を決定します。インペラーカットはポンプの回転数を下げるのと同じ効果がありますが、現在ではインバーターの回転数調整がより普及しつつあります。

 

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